ダイソーの300円充電式COBライトを分解
ダイソーで販売されている300円のCOBライトを購入しました。もちろん分解用です。
USB充電式でリチウムイオンバッテリーが内蔵されているので、これを拝借しようかと。
容量あたりの価格では10000mAhの1000円モバイルバッテリーが最強なのですが、電子工作で使うにはサイズや重さが大きすぎます。
パッケージによるとこの製品は200mAhのLi-Poバッテリーを内蔵しているとのことで、小さい乾電池くらいの容量があり、マイコンなどを動かすにはちょうどいいです。
おまけにLEDなども付属しています。
製品の概要
通常版と自転車に取り付けられるタイプの2種類があり、自転車用は通常版の250lmより少し明るい300lmとなっています。バッテリー容量と価格は同じです。
ボタンを押すと強、弱、点滅に切り替わり、長押しでブースターになります。
軽く使った感想としてはLEDが結構強力でその分バッテリー持ちが悪いといった感じです。まあ、分解するので関係ないですが。
基板


左が通常版、右が自転車用の基板
基板は片面基板です。2種類とも開けましたが、微妙な違いはあれど、ほぼ同じものでした。
さっそく面白いと思ったのが文字がシルクスクリーンではなくレジストマスクで書かれていることです。
少しでも製造コストを下げるためでしょうが、その発想はなかった。
CCブルダウン抵抗
USB-CのCCプルダウン抵抗が自転車用にはついていますが、通常版はフットプリントこそあるものの実装されていません。この抵抗は自分がデバイスであることを示すためのもので、これがないとUSB-C充電器からの充電ができません。実際にUSB-C充電器に刺してみると通常版では無反応なのに対し、自転車用では充電できます。
通常版のみ使用方法に「USB Power Delivery規格充電器(モバイルバッテリーを含む)では充電できません」と書かれているので仕様のようですが、なぜ片方だけなんでしょう。
コンデンサ
USBコネクタ、IC、トランジスタ付近にコンデンサと見られる未実装のフットプリントがあります。
さてはケチったな
LED制御
LEDの制御は一般的にICなどを使って定電流制御するのですが、この基板ではそういった制御はなくトランジスタでオンオフを切り替えるだけで、ほぼバッテリー直接続です。
なので、バッテリー電圧が下がると同じ明るさモードでも暗くなっていきます。
明るさはPWMで制御されています。PWMの周波数は100Hzで、ちらついていることはないのですが、ブラウン管テレビのような違和感があります。
動画の撮影に使おうとするとフリッカーがあるので少し周波数を上げて欲しかったところです。
それぞれの明るさでのDuty比は以下のようになっていました。
| モード | Duty比 |
|---|---|
| 弱 | 0.4 |
| 強 | 0.8 |
| ブースト | 1 |
充電回路
充電ICはLR4057と書かれています。xx4057は様々なメーカーが互換品を出しているICで最大電流は500mA、充電電流はで求められます。この基板に実装されているのは2kΩなので1000/2000=0.5Aとなります。
バッテリー容量が200mAhなので200mAくらいの充電が一般的ですが、その2.5倍と攻めた設計になっています。
充電するときにICが火傷するほど熱くなります(触るな)。このICは三端子レギュレーターと同じようにMOSFETで電圧を消費することで出力を制御しているので、例えばバッテリーが3Vのときは とかなり発熱します。もちろん電力効率も低いです。
バッテリー保護回路
ありません
充電はIC制御されているので過充電になることはないと思いますが、過放電には制御がされていません。これでは過放電でバッテリーが劣化しそうですが、意外に問題ないようです。
LEDは一定の電圧までは電流が流れず、それを超えると急激に電流が流れるようになります。白色LEDでは大体2.5V程度で、この電圧はリチウムイオン電池の放電終止電圧と同じくらいです。なのでバッテリーと直接接続しても過放電になることがないのです。
実際にオンのまま一晩放置してみると、朝には完全に消灯していましたが電圧は2.4V程度でした。正直2.4Vはギリ過放電のような気もしますが過充電のような発火リスクがある訳ではないので良しとしましょう。
USBコネクタ
見つけたときびっくりしたのですが、この基板USB-Cコネクタの足がはんだ付けされていません。ピンだけで固定されています。
触った感じ、グラつきなどはないですが、片面基板だと普通なのでしょうか。

バッテリー
メインディッシュのバッテリーです。
印字などがなく正体不明ですが、製品仕様によると3.7V 200mAhのLi-Poバッテリーとのことです。

サイズは20x30x4mmでSDカードより少し小さいくらい。そして何より重さがわずか5g!
モバイルバッテリーのセルと比べるとかなりの軽量です。
保護回路の無い、いわゆる生セルなので取り扱いには注意が必要です。
lcscで部品を買ったら保護回路や充電回路でも作ろうと思います。
COB LED
COBは見た限りでは同じで、HX-33F-30と書かれています。
完全な想像ですが、33が3.3V、30がLEDチップの数を表しているのでしょうか。

3.3Vで400mAくらい流れていました。
点灯させてみると自転車用は少し黄色みがかっているような気がします。1つずつしか購入していないので個体差かもしれません。
うちには明るさや色味の測定装置などはないのでLEDについてはここまでにします。
まとめ
他のダイソー商品と比べると「んっ?」となる場面の多い製品でしたが、300円でLi-Poバッテリーと高出力なLEDが入手できたので満足です。